不安、パニック、トラウマで最も大切なアプローチとは?

クライアントが不安やパニック、トラウマを恐れるのは、
それらに襲われた時に、
現実に戻って来る方法を知らないからである。

もし不安に襲われた時に、意識を切り替えて現実に戻ることが出来れば、もはや不安は不安でなくなる。
過呼吸になった人が、焦ってしまうのは、過呼吸を落ち着かれる呼吸の方法を知らないからである。
もし過呼吸の人がその時に、鼻からゆっくり息を吸って、口からゆっくり長く吐く呼吸をすれば、
ニ、三回の呼吸て落ち着くことが出来るようになる。
そうすると、呼吸が怖いものでなくなる体験が出来るようになる。

同じように、不安やパニックに襲われた時に現実に戻る体験が出来たら、
日常は落ち着いたものになるだろう。

クライアントTさんの課題は、不安と人が怖いということだった。
十年前に大手の企業で働いていた時に、
電話の対応の仕事で、
男性ストーカーに半年間ほど付きまとわれた。

その当時は上司に相談したが、まだ企業側が対応してくれない時代であった。
上司も心配して会社側に相談したが、
特に反応がなく、仕方ないな。という上司も困っていた。
それでも男性ストーカーは、電話口で同じような付きまといが続いていた。
結局のところ彼女はとても不安になり、会社をやめることにした。

●Bさんのアプローチ
過去の体験と現在の体験を識別出来るための、
ゲシュタルト療法の基本は、
内部領域の気づきと、現実に気づく外部領域の意識化。

不安やパニック、トラウマが、
本人にとって過去の出来事であることと、
今の自分の体験を識別できないところに、
問題が生じているのである。

フリッツ・パールズは、
過去の未解決な問題が問題なのではなく、
過去と今を識別出来ないことがほんとうの問題である、と言っている。

パールズの独特な視点は、
ゲシュタルト療法のアプローチにも現れている。

動物は環境に気づきために、
視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感覚の機能を発達させた。

現実に意識を向ける機能でもある。

目の前の現実が危険か安全か、
十分に体験すべきか、
環境を受け入れて満喫する体験が意味あることなのかを判断する機能でもある。

内部領域や中間領域に意識を向けることは、
環境から引きこもることである。

過去の体験を思い出す、
自分の気持ちや感情に意識を向ける、
ということは、
環境から身を引いて「引きこもる」ことでもある。

不安に襲われる、パニックに陥る、トラウマ体験が蘇る、
ということは動物として人は環境から「引きこもっている状態」に陥っていることになる。

健康な人が引きこもっても問題でないのは、
現実に戻ることができるからである。

このようにを意図せずに深い不安や恐怖の体験がおもいだされると、
パニックに陥る人が多い。

特に、暴力や口うるさい母親の言葉を何回も聞かされたり、
理由もないのに怒鳴りだす父親などが居ると、
家の中はいつも見えない緊張感、イライラが続くことになる。

そのために子どもは不安がいつも心の奥にあって、
大人になっても「予期せぬ音、怒鳴り声」に過剰に反応してしまう。

不安やパニック、過呼吸に悩まされている人は、
背景となっている「安心、安全」な体験が充分になされていないとも言える。

さて、本題のアプローチである《シャトル技法》について説明する。
シャトルとは、駅と空港を行き来するシャトルバスと同じ意味である。
特定の場所や位置を行ったり来たりするアプローチのことだ。
「過去と現在」を行ったり来たりする技法とも言える。

フリッツは「過去の出来事が問題なのではなく、過去の出来事と、現在の出来事の識別が出来ないことが、本当の問題だ」と述べている。

Tさんのケースでは、
過去の父親の「暴力的な行動、怒鳴り声」と、
大人になった今の自分の予期しない時に起こる、
人間関係や環境の「突然の音」を分けるために、次のようなアプローチを行った。

まず、過去の子供の頃の体験に戻り、
不安やパニックになりそうに感じたら、
現在に戻る方法を伝えた。
ゲシュタルト療法の基本的な’’気づきのレッスン’’でもある。

現実にコンタクトするレッスンである。
目で周りを見つめて落ち着く色や形、外部の木々の動き(視覚)、
現実の音を聞く、人の声、車の音、風の音なとゆっくりと聞き入る(聴覚)、
部屋の匂い、風の匂い、何かの香り(嗅覚)
周囲にある椅子や座布団、壁や草木に触れる(触覚)、
水を飲む、何かを食べる(味覚)

これらを一つ一つ意識を捨てて、気づく・感じるのである。

人は、現実に意識を戻すことで、
過去に体験した怖さや不安に襲われるという想像の世界(内部領域の気づき)から、
「今ーここ」、の現在に戻ることができる。

これらを説明して、気づきのレッスン(外部領域の気づき)をした。
そして、もう一度、子供の頃の場面に戻ってもらった。
ただし、その体験に深くとどまらないようにと指示したのである。

何となく父親の怒鳴り声、
暴力的な態度を思い出せそうに感じた時点で、
現在の大人の自分に戻るように提案した。

何回か繰り返すと、
過去の体験に少しずつ長くいられるようになる。

このシャトル体験を四回、五回としていると、
彼女の姿勢や動作がゆっくりとなることが分かる。
呼吸も意識的にゆっくりと息を吐くようにも伝えた。

最後のプロセスとして、「ゆっくり周囲の人、的の景色」を眺めてくださいと言った。
彼女は周りの人や外の景色、
部屋の座布団を触れてリ、
見たりしながら、
「スゴイ、凄い」と声を出した。

なので「何が起きたのか?」と尋ねた。

すると周りの「人が怖くない」、
「部屋の中が明るく感じる」、
「音が心地よく聴こえた」、
と少し顔を赤らめながら興奮気味に答えてくれた。

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コメント

    • 宮本康子
    • 2022年 7月 06日

    そうなのです!
    どんな時でも、五感に意識を向けられれば、大丈夫になるのです。
    だから、意識に気づくこと、五感に意識を置くことの練習を、日々、やっていたら、健やかに日々を送れると思うのです!
    これ!意識に気づくことは、瞑想の実践により手に入ります。

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